keiyaku
みなさん、約束をしたのに守ってもらえなかったことありますか?
契約書を作ったことはありますか?

契約書には、念書・誓約書・覚書などいろいろな文書があります。

ーでは、一体「契約書」って何なんでしょう。




「約束を守らない」は「嘘」ではない

約束を守らないことは嘘とは違います。
約束したのであれば約束したこと自体は本当です。

「約束」を法律的には『契約』と呼んでいます。
そして、「約束を守らないこと」を法律的には『債務不履行』と呼びます。

法律的には「嘘」という言葉はありません。
とても感情的な言葉で、法律的にはあまり意味がないと考えます(但し、詐欺という場面等では意味があります)。

約束を守らない理由はなんだろう?

約束を守らなければ紛争になる可能性はとても高いです。
実際に裁判になっている事件でも、約束を守らなかった相手方に「約束通りに○○しろっ!」という請求をするものが多くあります。
お金を返すって約束したのに返さないから返せ、代金を払うって約束したのに払わないから払え、とかです。

約束を守らない相手に何といいたくなりますか?

①約束を守れ!
②なんで約束を守らないの?

の2つではないかなと思います。
①は当然の叫びですね。紛争予防の観点からは、②が大事かと思います。

約束違反の紛争を防ぐ!ポイントがあります

契約書を作りましょう。

当然ですね。約束を破ったときのペナルティー(例えば遅延損害金など)をガチガチに約束しておいて、それを契約書にしておく。
さぁ、これで約束を守らないなんてあり得んだろう。

でも、実際にはそれでも約束は守られない事件がたくさん起きています。
他に紛争予防方法を考える必要があると思います。

私は、約束を守らない理由を初めから「話し合っておくこと」が大事ではないかと思っています。
例えば、夫婦間での気軽な週末の予定の約束。

「破ったら好きなものをご馳走してもうらからね!」

というペナルティーで抑え込むよりも、約束を守らない、守れない理由について話し合ってみるのが良いでしょう。
私であればハードな一週間を想像し、

「あぁ、そういえば金曜日に懇親会が入りそうだから遅くなったら次の日遠出はきついな、あれ奥さんはそろそろ美容室に行かなきゃいかんのじゃないか」

なんていろいろと夫婦で話をしておくのです。

ーなぜこれが紛争を予防することに繋がるのか

約束を守れなかったときに、相手方に予測が立っているからです。
何にも予測する機会がなく、ペナルティーガチガチで約束は必ず守られると信じている相手方であれば、紛争になる可能性が高まっています。
もちろん約束を守れば良いのですが、そうもいかないこともあります。

約束を守らないことと嘘は違うと言いましたが、少し嘘の可能性も出てきます。
つまり、約束を守れない理由について話し合う中で、「ここだけには嘘があったら許さないよ」というポイントが出てくるはずです。

例えば、お金を貸す際に、返せなくなる可能性について話し合ったとして、「いや2ヶ月後に大きなお金が入る取引があるんだ、だから必ず返せるよ」と言ったとします。
ここにポイントを絞った場合には、そもそもお金が入る取引の予定なんてなかったとしたら、これは嘘ですね。
こうなったら紛争になることは間違いありません。

これを防止するには、お金が入る取引についてもう少し具体的に話を聞いておくことで、嘘のポイントをさらに絞っておくことかと思います。
でも、話をしないよりは必ず紛争予防に近づくはずです。
これをしないのであれば、約束なんてしない方が良いと思います。

特に大きな約束になればなるほど。

では「契約書」ってひな形で良いの?

仕事上多くの契約書を見ますが、ときどき変な契約書を見ます。
契約した当事者の意向と全く一致しない条項がたくさんある契約書、そもそも契約の類型(請負、業務委託等)がずれている契約書などです。

ーどうやって作ったのか聞いてみました

・インターネットで検索して見つけたひな形に加工して契約書を作った
・相手に送って署名押印を取り付けた

それだけ。
紙に書いておきたくなるほどの約束なのにこの始末。

契約書はひな形から作るものではありません。

ーではどうやって作るか。手順をお教えします。

 ①当事者で大枠を話し合う
 ②一方が契約書案を作成する
 ③もう一方が契約書案を修正する
 ④当事者で細部を話し合う
 ⑤内容が確定したら、ひな形を見て追加する条項がないかチェックする
 ⑥2部作成して調印し、1部ずつ保管する

①、④で適宜約束を守れない理由について話し合っておくことも重要です。
②でひな形を加工するのは止めましょう。②、③の段階では、契約内容の重要な点(貸金の契約であれば、金額、返済時期、返済方法など。売買契約であれば、商品、代金額、支払時期、支払方法など。請負契約であれば、仕事の内容、納品時期、納品方法、報酬額、支払時期、支払方法など。)についてしっかり決める段階です。④の段階で細かく話し合って決めれるでしょう。
⑤の段階になってからひな形にはこんな条項が入っているなということでそれを追加するかチェックしましょう。
⑥の段階に入る前に、何度でも当事者で話し合いましょう。

ー注意点は?

 ・まずは分かり易い言葉で作る
 ・誤解を生むような不明確な表現は避ける
 (基本は、誰が誰に対して何をどうするか(例えば、AさんがBさんに対して金100万円を支払う)を正確に書くことです)。
 ・全ての当事者が理解した内容にする

契約書って何だろうか?

昔から約束ごとを紙に書くことは行われていました。
血判状などを想像するとイメージが湧きます。
どんどん社会が複雑になり、人は複雑な約束ごとをするようになりました。

契約書は人の英知の結晶といえるかもしれません。

複雑な事柄を余すことなく過剰になることなく表現した契約書をみるとほれぼれします。
良い契約書は必ず紛争を減らし、紛争の質を変える力を持っています。
義務教育の過程で契約書の意味や作り方を教えてもらう機会はありません。

自分で人とかかわり合う中で会得していくしかないのです。

試しに、友人や親族と、嘘の契約書を作る作業をしてみたら面白いと思います(署名押印までして取り交したりしないでくださいね)。
お金を貸す契約や、なにかの仕事をする契約、簡単な契約であっても表現するとなるとよく話し合って決めないと契約書が作れないことが分かります。

今日のおまけ:念書って何だろうか?

ときどき紛争になった当事者間で、念書という題名の文書が作られることがあります。
一方が他方に対して一方的に何かを約束したり、確認したりする内容の文書です。

私は念書があまり好きではありません。
みなさんはどうでしょうか。

合意書では駄目でしょうか。
一方的に約束させることが紛争を解決したり予防したりする力を持っているとは思いません。
登場人物が2人以上であるのだから、話し合った結果として合意書を作成したいものです。


人が人と関係性をもって生きている以上、大なり小なりの衝突は避けられません。
世界の至る所で、今も契約書、合意書、覚書、念書、誓約書、結構たくさんの題名の文書が日々作られています。

不利益を被らない為の転ばぬ先の杖、「契約」。

その文書は、本当にあなたとその人が話し合って納得した内容が書かれている必要があります。

一度、真剣に契約の意味について考えてみたいものです。