嘘をつかれて紛争になった経験はありますか?
信じていたのに裏切られた、許せない。
そんな感情を持ったことはありますか?
嘘が紛争に結びつかないようにする方法はあるでしょうか。
「こころ」の準備
誰だって嘘をつかれるのは嫌です。イライラするし、傷つきます。
嘘つきは泥棒の始まりって親から教えてもらったりしますよね。
でも、嘘も方便というくらい、嘘はつきものです。
まず、嘘をつかれる準備をしておくことです。
嘘を発見してもイライラしない、傷つかない「こころの準備」です。
そのためのポイントは2つあります。とても簡単です。
・「ここだけは嘘があったら許さないよ」というポイントを絞っておく。
(他の部分は嘘があったら悲しいけれど、許してあげる。)
・「ここだけは嘘があったら許さないよ」というポイントを相手に正確に伝えておく。
「本当のことを知った」スッキリ感
私は仕事上嘘をつきません。弁護士が嘘をついたら大変です。また仕事上多くの嘘に接しますが、イライラしたり、傷つくことはありません。
「こころの準備」が出来ているからです。
私は「嘘」と捉えてイライラするのではなく、「本当のことを知った」と捉えてスッキリします。
嘘に接したとき、それは本当のことを知る瞬間です。
合点がいきます。
逆に頭の中がスッキリして霧が晴れます。
子育て~子供にも教えたい「こころの準備」~
嘘は駄目!と子供を叱っていませんか。でも、子供は脳が発達する過程で必ず嘘をつくようになります。
とても自然なことです。
嘘は駄目!と叱るのではなく、ついてはいけない嘘を考えさせたり、嘘をつく理由を考えさせることも大切だと思います。
そういう思考トレーニングが、子供に社会で嘘をつかれる「こころの準備」をさせることになるのです。
本当に嘘なのでしょうか。
最後にとても大事なことをお伝えします。あなたがイライラしている相手の嘘は、本当に嘘なのかということです。
嘘は本当じゃないことを話すことです。では、本当のことって何でしょう。
実はその人は本当のことを話しているのかもしれません。
人はある事実を経験すると、その人の五官で認識して記憶します。
五官で認識する段階でも人それぞれ違いが出ますし、記憶する段階でも人それぞれに違いが出ます。
あなたと誰かが、同じ場所で、同じ事実を経験しても、あなたとその誰かとでは、認識も記憶も異なるということです。
さらに、時間が経てば記憶は変容します。
(ある部分が薄れたり、ある部分だけが濃くなったりします)
変容の程度も人それぞれ違いが出てきます。
そして、最後に言葉にする。
表現の仕方も人それぞれ違いが出ます。
さて、あなたがイライラしているその人は、その人が経験した事実をその人の五官で認識し、表現したのだけれど、あなたの認識、記憶、表現と異なっている場合、果たしてその人が嘘をついていると言い切れるでしょうか。
難しい問題です。
私は、人が話す言葉が自分の認識・記憶・表現と違うからといって、簡単に「嘘」と決めつけることはできないと考えています。
楽しく考えよう
嘘について考えることはとても面白いことです。紛争の根っこが感情的なもつれということはとても多くあります。
そしてその感情のもつれは、「嘘」を出発点にしていることもあります。
本当に「嘘」なのか、
「嘘」って何なのか、
「嘘」だとして嘘の理由は何なのか、
「本当のこと」を知って本当に許せないのか、
考えてみましょう。
できれば楽しく考えたいものです。